詩人:サエ
小さな頃
手土産で貰った
ちょっと小ぶりできれいな洋菓子の缶詰に
ボタンを集めた
そのうち
帰り道のきれいな石や
くじで当てたイミテーションの指輪
小さなビーズの詰まった髪ゴム…
いろんな物が加わって
小さな缶詰には収まらなくなった
小さな私は選別を始めた
ときめくものだけ残して
それ以外は
丈夫そうな紙の箱に詰めた
入れ物を大きなものにしようとは
その頃は思わなかった
選別したものすらも捨てられず
別でしまっておくところに
既に優柔不断な私が確立していたように思う
もしかすると私は中身よりも
そのきれいな缶詰が気に入っていたのかな
ときめく感情はあまり好かない
期待してもいい結果ばかりではないから
むしろそっちが殆どだ
だから諦めている振りをする
はじめから欲しくないと偽って
傷つかない為に膜をはる
認めてほしくて
褒めてほしくて
期待されたら出来ないことさえやろうとする
失敗すると解ってて
誰かにとっての「普通」じゃないことが
私には一番怖いんだ
いつしか自分の感情も
見分けがつかなくなる
ものの善し悪しもわからない
子どもならよかった
こんな自分を実感するとき
やり直したいと思ってしまうとき
必ず涙がそばにいる