詩人:山崎 登重雄
切り落とした指の感じない痛みを
生き残った指が時折訴える
それはとても 鈍く
むしろ はかない痛み
そう それは そこはかとなく
痛い ただそれだけの痛み
高いのが自慢だった 中指の痛み
効能は分からないが 薬指の痛み
多分一番痛いだろうと推測するが
約束できなくなった 小指の痛み
ゆびきりげんまん 笑えない
無理に約束すると痛いもんな
分かってあげてたつもりだったけど
こんな風に訴えるなんて
痛いんだな おまえらさ
たかが生きていくために
こんな紋章背負っていくなんて
意味があるんだよなんて陳腐なセリフ
好きな人になら 言われてみたいか