詩人:ユズル
染みは すごく小さく見えた
気にしないで良いくらい
染みは じわじわと広がった
気付いてはいたけれど
悪い夢だろうか
結った髪 さらさらと 流れて
宇宙になった
誰かが
ぱくぱくと口を動かす
分厚いもやもやで聞こえない
不器用な姿 塵のようだ
星は瞬かない
遠い記憶だろうか
ただ冷たい 薔薇が 一人で泣いた
あの星は今も その主を探してる
王子さまが 帰らなかったとしたら
あの星は今に その主を忘れて
薔薇さえも忘れて
忘れるは消える 王子さま
こんな夜は
とめどない宇宙にのまれる
こんな夜なら
瞳を閉じないで星を探す
染みは
明日の朝には
気にしないで良いくらい
けれど確かにそこにある
そして
甘く冷たくて 動けない
心の一部が消えるような
こんな夜