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[123136] 中年男の恋〜哀愁の刻

詩人:甘味亭 真朱麻呂


声の続く限り叫んだこの思いはまるで届かないよ ああ
思い出せるのは同じ事ばかりで気も滅入るくらいさ もう

誰にも言えないことは
誰にも言わないままで
ずっと胸にしまっていたいのに

嘘や隠し事の出来ないばかな僕だから
すぐに本当のことを君に言う
だからいつも罪は仕草にでてしまうから
僕はバレるも何も言い合いもなくて
分かりやすすぎて隠し通せていない嘘は大概短時間でばらされる あとはお決まりのように頭を下げ謝るだけ

帰って寝るだけ積み重ねていくだけの日々
こんな毎日が楽しいわけもなく ただただ悲しく過ぎてゆく

溜息は日常茶飯事で
まるで習慣になってしまった
癖にもなりつつある

可憐なあの娘はきっと金持ちのご令嬢
こんなムサいおじさんになんかに興味があるわけもないよね
可憐なあの娘に似合うのは僕なんかじゃなく もっと若くてハンサムな男の子
まるで白馬の王子みたいな人なんだろう
考え方までもおじさんになってしまった
僕にはもう永遠に恋する資格はないのです

罪を重ねることも
出来なくて
それさえも もしや
烏滸がましいのかも

中年男の恋は淋しく
誰も知らないまま
散ってゆく 僕らも
若いときには ああ
もっとはしゃいでたのに それは今じゃ遥か昔 誰も知らないような写真がやっとカラーになった頃の時代の過去の話さ

もう そんなに経ってしまいましたか
あの燃えた頃から
気が付けば儚くそして呆気なく 過ぎた
全てが一瞬に吹き髪を撫でる風のように

僕らの新しい時間を 全て古くしていった 振り返っても全ては覚えていないくらいに 記憶を薄まらせて遠ざけてく

思い出せない 思い出せない 失われた時よ

なぜに僕を悲しくさせるのか こんなに
振り返っても もう
懐かしくもなく
終わりが見えるだけで。

2008/03/18 (Tue)
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