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[123172] 不自由という自由

詩人:甘味亭 真朱麻呂

心にぽっかりと空いた空白(あな)を埋めてよね 僕の失った時間がまるで舞い戻ってきたみたいに君と居ると今までの時間が全て取り戻せたそんな気がしたんだ

伝えられない部分を埋め合わすように
君と居るとその時間の1分1秒さえもが楽しすぎて時間も忘れるくらいさ それだけに過ぎるのも早く気がつけば目を覚ましたみたいに僕らはおじいちゃんやおばあちゃんになってるのかなあ
いつの間にか感じることさえしなかった
『失われた時間が幸せすぎたから』なんて幸せな言い訳だろう独り身の誰もがきっとうらやましがる台詞さ

どんな言葉ならばふたりは分け与えられた未来を上手く共有できた?
楽しい時間はどんな時でもすぐに過ぎ去ってしまう もう否応なく平等を言い訳にして全てさらうさ
思うよりもずっとずっと早く感じたと思うほかにはなくて
それでも未来の僕らになくてはならない時間であり残された僕に与えられたのは悲しく冷たい涙だけさ
ふと僕は気が付いて過去の自分を振り返った時には
何もかも失ったあとで でも悲しくはなくて
ただ今はほろ苦い後悔だけが空しさを募らせた もう戻れないことくらいわかってるから 何も今さら感じない 嘘っぱちな愛は無痛な方が出来りゃいい 予想に反して運命に勝ち誇ったような
こんなゴールのない世界で終わりをむかえたあともきっと後戻りの出来ない日々と知ってるから
だからこそ今になって過去の清算や遅れを取り戻したり悲しくなるのをわざわざ思い出したりはしない 無駄な説明なんていらないのさ
ただ今を受け入れればいい 素直に生きられればそれで幸せと言っていた
なにもかも嘘なんだと思いこんでた なにもかもまやかしだと飲み込む なにもかも微睡むように夢の中へ なにもかも全て過去に押し込んだ
なにもかも忘れよう忘れようとした
それこそが今思えば今じゃなけりゃ思うことさえかなわない不自由の仮面を被った

2008/03/19 (Wed)
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