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詩人:どるとる
単純な気持ちを言葉にするとき なぜか人は戸惑ってしまう
わざと遠まわしな言葉でごまかしちゃう
燃えるような夕陽が空を真っ赤に染める
誰かが言う
さよならを合図に
チャイムが鳴ります
『蛍のひかり』
きれいだな
ラララ 今日もお世辞にもいい日だったとはいえないけれど
燃えるようなきれいな空だから
ぜんぶぜんぶ許しちゃうよ
僕も言うよ
さよなら
また明日
手を振る帰り道
影を揺らして
ママと手をつないで
かすかな街灯が照らすだけの夜の闇の中へ消えるふたつの影が口をきく
僕、晩ごはんは何?
ママ、今夜はカレーよ
そんな会話も
あたたかいな
ドアを開けると
あふれ出る
ひかりがもれる
母親は言う
家族はカレーライスみたいもんさ
たくさんの具があってカレーの中で仲良く並んでるから
ちょっと不器用なたとえ話さ
でもママは幸せそうに僕の頭を撫でるのさ
やっぱりありふれてても普通がいちばん幸せだね
ママがいて
僕がいて
パパがいて
そしていつも1日の終わりに空を染める
きれいな夕陽があれば
涙なんて
いつの間にか 消える。