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[123697] 凍えた世界〜忘れゆく記憶

詩人:甘味亭 真朱麻呂

遠くまで響きわたる澄んだ君の声 不思議に耳にさわらないそんな声 僕はそのやさしく心に響く呼び声を追いかけて 幾度の扉を開き偽りにごまかされながらも必死に追いかけた 君の声だけを頼りに いつか逢えるという希望を喜びと突き進む強さという力に変えて

ひらり ひらり 舞い落ちながら
ふわり ふわり 空をただようように

影は日暮れと共に今日も伸び
幻みたいに声が消えて行くよ 胸を苦しめるのは惨たらしいくらいの淋しさと孤独感
陰惨な虚無の実像だけ 背負いながらさまようのは荒れ果てた夢の最果てか 君は何処に

目的を忘れそうになりながらも
目印はいつでも 不確かな未来の見えない希望のように
幻を僕に見せ あるはずもない君の声を聴かせている
僕に幻聴を注いでゆく

ふと気づくと僕は目を閉じたような静寂と それとは反し暗闇なのに不思議な安堵感と
眠りの中にいるようなまたは耳をふさいだようななにもない世界の中で 鼻歌みたいな半ばくぐもった音程がはずれた行き先もなく宛もない唄を口ずさんでた
名も知らない場所で
人間の死ってこんな感じかな なにもかも終わった絶望にも似たあきらめが頭の裏でよぎった 別には悲しくもなく
けど月はそれでも気持ち悪いくらいやさしすぎるんだ どんな表情を今夜はするのかな 朝だか夜なんだかわからない 残ったのは人びとの憎しみとつまらない嘆きとため息混じりのグチだけが感覚として耳に入り込んでくるよ 聴き入る僕にしてもそんなふうに生きてたんだとはじめて自分を恥じていた
不思議な時の流れも追いかけられる焦りも日常の慌ただしさもない
世界は微妙にゆがみながら 時々目がくらむほどの光で闇の壁が削られるように現世の世界の景色を少し映すもあまりに目映すぎて明るすぎる光は瞳孔を小さくし瞳を灼くほどの閃光を僕に見せつけるようにもったいぶって朧気な凍えた世界

2008/03/28 (Fri)
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