詩人:もとり
歳を一つ重ねた
動く事が億劫になった
経験を一つ重ねた
失敗を恐れる様になった
知識が増えていった
立ち回り方を憶えていった
言葉を慎重に重ねた
どちらとも取れる言い方を憶えていった
余計な物が増えていって
身動き取れずに雁字搦め
何も知らないから出来る事と
知ってるからこそ出来なくなった事がある
憧れていたあの人に
今じゃ歳だけ追いついて
記憶の中で消えていく
口だけ動かし
理想を押し付け
昔の自分に重ねた若者を
まだまだ未熟だと決めつける
そんな今の自分を
昔の自分はなんて言うんだろうか