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[14203] こときり

詩人:望月 ゆき

路上の車の窓ガラスを
ツバメの低空飛行が横切る
それを見ないふりをして
7月はやってくる。

その間にもわたしは
あなたのことを見ている

アジサイの花びらで
四つ葉を作ってよ。
次の瞬間にはきっと
何もかもが可能になると

その間にもわたしは

しっかと
握りなおし たしかめた
手の中には
水色の傘、
だったか。
それとも

螺旋階段のてっぺん。
夕立を撒いて走りゆく
白い制服の彼ら
の頭上をかすめて雨雲は足早に
遠ざかる

その間にもわたしは
あなたのこときり 見つめられずに。


いつも
通り過ぎたあと、気づく。

2004/06/25 (Fri)
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