詩人:NZO
日本で生まれたその花は
春の良き日に庭を赤く彩る
開いた誇らしげな顔は
こんな僕にまで勇気をくれるのさ
過去を伝えるその幹には
耐え貫いた日々が刻まれる
深く削られ、乾いた幹肌
生きる為の証、僕の傷跡と同じ
力強く光る大きな葉は
どこか潔く、立派に構える
痛々しい程の深緑は
僕の心を静かに燃やし続けるんだ
だが時は経ち
花は茶色く萎れ、枯れ落ちて
幹は皮が剥け、痩せ細り
葉は虫に食われ、穴だらけに
『安心しなよ』
『そんなに弱くない』
汚い姿に戸惑う僕に
君は風に言葉を乗せた
椿
その煌びやかで
たくましい花木
椿
この身体を栄養に
僕の心に咲け