詩人:老女と口紅。
教育番組にて
老人ホームを見つめる‥
私が思う介護のひずみ
介護士は言う
今日は
お化粧して
若返りましょうねぇ〜
赤ん坊を
あやす かのように
対応する口調
それを受けとめ
車椅子に座る
白髪の女性‥
歳は 八十の後半位、
ごくごく普通の老女‥
髪を整えられ
そして口紅をぬられる‥
口のききかたは
どうなの?
そんな行為が
本当に必要なの?
彼女は化粧を
望んでいないのでは?
介護する側
される側
思うところは
沢山ある‥
ゆりかご から
墓場まで
人として‥
私が老いた時、
何を望む?
どこへ向かう?
私の言う
老女と口紅。では
決して
明るい光景ではなく
ほほえましい
もの、でもない‥
ここに
介護問題に
興味は
あるけれど
もう一歩先には
踏み出せない男、
老女と口紅。
が いる‥