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[62578] エゴ飼養

詩人:リコ

ガラス越し


老人の歩幅とEmの音色が
見事に重なる



優しい夕暮れ



単純なストロークで悲しみを
繰り返し繰り返し



もうこれしか聞こえない




誰かの泣き声を
聞いてた耳は
どっかに置いてきた





幾度も
悲しい夜
震えながら
独りぼっち
懺悔を繋いだ
7文字の祈りは
いつしか
あの子の
お菓子の様にやんわりとした笑顔を
再び
私の元に帰してくれるのでしょうか






憎まれ口も平気
笑われたって大丈夫
どんだけ泣いたって
涙は必ず乾く



だのに




濁流がこの部屋に溢れ


テディベアが逃げる



私の口の中に
泥水がどんどん入る



テディベアはどんどん逃げる




綺麗さっぱり
誰もいない
この部屋



私の口の中に
泥水がどんどん入る




テディベアはどんどん逃げる





どんどん距離は広がって




ガラス越し
老人はもうどこかへ

見上げた空
もやもやした灰雲を
連れ添い流れる




透明には
決してならない




透明になど
決してなれない




私達は





2006/01/09 (Mon)
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