詩人:リコ
ガラス越し
老人の歩幅とEmの音色が
見事に重なる
優しい夕暮れ
単純なストロークで悲しみを
繰り返し繰り返し
もうこれしか聞こえない
誰かの泣き声を
聞いてた耳は
どっかに置いてきた
幾度も
悲しい夜
震えながら
独りぼっち
懺悔を繋いだ
7文字の祈りは
いつしか
あの子の
お菓子の様にやんわりとした笑顔を
再び
私の元に帰してくれるのでしょうか
憎まれ口も平気
笑われたって大丈夫
どんだけ泣いたって
涙は必ず乾く
だのに
濁流がこの部屋に溢れ
テディベアが逃げる
私の口の中に
泥水がどんどん入る
テディベアはどんどん逃げる
綺麗さっぱり
誰もいない
この部屋
私の口の中に
泥水がどんどん入る
テディベアはどんどん逃げる
どんどん距離は広がって
ガラス越し
老人はもうどこかへ
見上げた空
もやもやした灰雲を
連れ添い流れる
透明には
決してならない
透明になど
決してなれない
私達は