詩人:まとりょ〜鹿
夜空に咲いた火の花
微か湿った地面に一人
宙を切るような衝撃に
すぐに心奪われる。
待ち遠しかった季節
繋ぐ真空の光
止むことなく高鳴る心
しかし問題は祭りの後だ。
散りゆく空は真っ暗で
それはまるで一瞬の事のように
目の前から消えてしまった。
湿った冷たい地面に
一人だと気付かされる
静まり返った空を見上げれば
より一層心は凍る。
待ち遠しかった季節
今は巡りゆく必然すら忘れ
塩っ辛い涙が伝う。
女はその場で暫く苦しそうに涙を流し
“またね”と清々しい背で街の灯りに溶け込み
男は暫く空を眺め呆然と去り行く人を見送り
“愛しい”と苦しみを含んだ背で静かに涙を流す。
まるで恋は一瞬で
花火のようだと人は言う。