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詩人:どるとる
ただ静かな夜
目を浅く閉じて
どんな言葉でも
足りないほど
どんな優しさも
慰めも役に立たない
そんな夜に出会ったとき 何も言わず黙ったまま朝を待とう
見送る時間は
さらさらと砂のように 流れてゆく
生ぬるい風と
沸き立つ切なさ
ビルの影に吸い込まれそうな蒼い空
なんの前触れかな?
僕にはどんな夢も憧れもないと強がっていたけど
本当はいくつもあるくせに 全て無謀だと決めつけてるんだ
独りきり 道の上
何もない景色に
わくように咲いた
白いため息が
唯一 僕がここにいることを教えてくれる
凍りつくような
寒さで感覚はなくなり
生きているのに
死んでるみたいさ
ただ静かな夜だ
本当、静かな夜だ
金色の月と
流れる砂の時間
残されたまま気づかれない忘れ物のように 僕は何かを待っているような顔で
うつむきながらも
強く強く歩き出す
夜明けが来たことは
知っているんだ
だからこそ
もう少し この切なさと話をさせてくれ。