詩人:りんくす
きこりが鉄の斧を泉に投げ入れました
泉の精が金と銀の斧を持って現れました
この斧を落としたのですか?と尋ねると
そんなわけないだろ!ときこりは怒って帰ってしまいました
きこりが鉄の斧を泉に投げ入れました
泉の精は少し考えて
落とした鉄の斧を持って現れました
きこりは愛がない!と怒って帰ってしまいました
きこりが腹いせに石を泉に投げ入れました
怒った泉の精が大岩をきこりの近くに投げ返しました
何でこんなひどいことをするんだ!と
きこりは泣きました
泉の精が膝枕してあげようと泉から出て来ると
きこりは泉の精を泉に突き飛ばして走っていきました
きこりが帽子を泉に投げ入れました
泉の精は現れませんでした
きこりは雨の中いつまでもいつまでも
泉の精が現れるのを待ちました
晴れた日に
きこりが一輪の花を持ってやってきました
泉の精はにっこりほほ笑みました
きこりが黙ってしまったのを見て
泉の精は気付いたのです
きこりはただ泉の精に笑ってほしかっただけだったのだと
でもきこりはやっぱり怒鳴りながら
走っていってしまいました
泉の精は少し溜め息をつきながら
擦り傷のついたきこりの膝小僧は大丈夫かなと
心配しています