詩人:甘味亭 真朱麻呂
流れゆく時の途中でなくした大事な声 君はそのとたん動けなくなった 僕の胸の中で固まってしまった 笑ったまんまの姿で 悲しい目に遭ってるのに
人生という列車の窓から 遠ざかる斜陽の中 うっすらと見える景色の向こうに手を振る 昨日の僕やいつかの今日の僕
明日の僕は明日の僕という自覚すらもなく生きてく もどかしさ抱いたまま
描けない夢 背負ったまま走る列車に乗り込んだ 夕暮れ
さみしさを乗せ
今まで見てきた見慣れた街の景色を自転車に乗り少し無理をしてまでも終わりの日にはたっぷり時間になるまで見てみたい あきていたはずの世界がいつも見てる景色とは同じなのに不思議と違うように見えた 見えたんだ
そんなもんでかまわないさ そんなもんで十分だよ 僕は
少ししかない時間をつないで つないで
切れないように精いっぱいつないで行く
人生という列車の乗車切符を握りしめたまま
もうさんざん二人で探して見つけた声なくさぬように
今度ばかりは厳重にしまい場所を確認する
そのわけあって慎重になりすぎるのも玉に瑕
悲しい終わりもあるならば逆に笑える終わりもあるはずだ
不具合な旋律が遠くで鳴ってるよ
原点なんてほらばかばかしくてさ仕方ない
飛び交う蛍のお尻の光や夢に見た退屈な森や今までに考えた全てを思い出してく
それら全てが僕の原点でありつまりはそれが頭の中で描きたかった世界だったはずなのに
そればかりを愛せない そればかりに頼るわけにはいかない
もう次のイメージが思い浮かんだ時には糟にさえ思えるのになぜか愛は消えない
一人暮らしの寂しさは途絶えない
未だに故郷が懐かしい
「おいくつですか?」と問いかけられ発作的にそう言ったまでだよ
爆発的に発信されていくけどやがては絶対の前にひれ伏し消え去る運命のもの達
満足かい? 満足だよ、そう応えるしか無い僕は。