詩人:どるとる
朝起きて 寝ぼけ眼でカーテン開ける
朝食は簡単に済まし
行ってきますも言わないまま出かけ
ただいまも言わず
のそのそと家に帰る
繰り返される 退屈な毎日
楽しみなことといえば寝る事、食べる事
あたたかいような
つめたいような
世間の風に吹かれて
どんなに強がっていても流れる涙
優しいような
きびしいような
人たちに逃げ場ふさがれ囲まれて
言い訳も言えず
延々愚痴言われ
延々文句聞かされる
僕の涙はどこへ流れてゆくんだろう?
僕はまるで田んぼのまん中でただ立っているだけのかかしのように
形だけの人生を送っているだけに過ぎない
何が楽しいのか友は笑い
何がおかしいのか常に笑い
誰とも馴染み
何でもこなし
たいへんよくできた人間です
僕にはまねできない
空っ風に吹かれて
へのへのもへじの顔して カラスに集られ
かかしはそのたびに
愛想振りまき世辞をばらまき
時が過ぎるのを待つ
日が暮れ
夜が来たら
人前じゃけっして見せない
大降りの雨をたれ流す
そしていつか立ったまま死んでいくのだ
かかしのように。