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[126305] センセ、ばいばい、おはよ。

詩人:まとりょ〜鹿

一面浮かれたピンクの車道を定時通りにバスが潜り抜ける。

新鮮味すら失った季節の朝。
胸躍り真新しいセーラー服を乗せて春は行く。

ハシャぎ合い、時に不安気な幼い横顔たちに
アイツらは元気か?と窓越しにすれ違うリクルートスーツに思いを馳せる。


アイツらみたいな騒がしい輩と別れて清々するものの、

最後までなかなかスタートを切れなかったアイツの事や

春なんか嫌いだわと旅立ちの証を抱いて
揃い初めの木々の蕾を最後まで机に突っ伏して泣いたアイツ。


職業病か人間性か
いつだってアイツらの事を考えては

泣き言駆け込むアイツらの顔を思って
進路調査票は未だに職員室の机ん中に


今日からまた春、
教卓越しに見知らぬ奴らの成長を眺め
三年後のまた春、
何より見知っちまった奴らの旅立ちを見送り


…あ〜ぁ、教師なんかかったるいなァ。
新鮮味のない門を何度となく潜れば
…あぁ、教師なんか報われねぇなァ。
何が楽しいのか、弾んだ声で挨拶が木霊する。


ちきしょう
やっぱり教師なんかやるモンじゃねェなァ…。

大人の世界へと巣立ったアイツらとは同窓会位で逢えばいい。

大人になったアイツらにとってはもう俺はただの同じ大人。


でもアイツら知らねぇんだろう…なぁ?

春を誰より切なく思い
背中を押して見送る
ただそれだけの大人の事を…。


何より頑張れよ。
悔しいから今度は大人として会うよ。


今日は真新しい声で
おはようございますが
晴天の空に響き渡る。

初めて出逢うお前ら
これから一緒に季節を廻るお前よ
お前らもちゃんと俺に見送らせてくれよ。

2008/05/13 (Tue)
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