詩人:どるとる
春は ひとり
桜並木を歩き
はじまりの風を
感じながら
感慨もひとしおに
別れと旅立ちの支度をそれぞれととのえる
夏は暑さにまいり
けっしてなれない
だるさに ため息をついて汗をぬぐい
緑の中を駆ける
風になる
秋は切ない色に染まった並木道を歩く
紅葉がはじまると
木々は いよいよ
赤に黄色に染まり
見応えのある
景色を見せる
冬はひたすら 寒くて 凍てついた手を
こすり合わせて
こたつの中
丸まる猫になる
白いため息
ひとつつくと
春のあたたかさを
恋しく思う
ただただ何もかもが
あっというまで
なにをしたのかさえ忘れてしまうほど
たくさん いろんなことがありすぎる一年
春夏秋冬 めぐる季節はまるで映画を観ているように 次から次へと移り変わるよ
季節ごとに色を変え
空も木々も人の心も
少しずつ変わってゆく
街も夢も趣味も好きな食べ物も いつの間にか変わってる
その内大人と呼ばれる歳になって
働くようになると
僕は偉そうになる
その内季節の色なんて気にしなくなるほど忙しくなる
自分でもわかってる
そんなの嫌だ
でも僕は大人になってしまった
心も身体も
嫌っていうほど
汚れてしまった
春夏秋冬めぐる季節はまるでシアターのように瞬く間の内に僕の瞳に映る景色をあざやかに変えるよ
僕はいつでも主人公のつもりさ
季節というドラマの中でただ笑ったり泣いたりすることが僕だけに与えられた特別な役割なのさ
ただただ何もかもが
あっというまで
なにをしたのかさえ忘れてしまうほど
たくさん いろんなことがありすぎる一年
春夏秋冬 めぐる季節はまるで映画を観ているように 次から次へと移り変わるよ
あざやかに変わるよ
そしてまたはじまりの風は吹き始める
そしてまたこの街を埋め尽くすほどに美しき桜は咲く。