詩人:りんくす
きこりはふと気付きました
鉄の斧を泉に投げ入れたまま、返してもらっていないことに
これでは仕事ができません
お花以来何となく気まずくて泉には行けなかったきこりは
思い切って家を出ました
泉に行ったものの
泉の精は留守のようでした
その頃泉の精は
鉄の斧を持って森を歩いていました
これがなければきっときこりは困るだろうと思い
きこりを探していたのです
しばらく歩くと
一軒の家を見つけました
あめやチョコレートなど
たくさんのお菓子でできたかわいい家でした
泉の精はノックしようとした時
ある噂を思い出しました
かわいい家には魔法使いのおばばが棲んでいて
うかつに入ると食べられてしまうという話です
しかし小路の柵にきこりの帽子を見つけ
またノックしようとして
手を止めました
また突き飛ばされたらどうしよう…
迷っていると
足音が聞こえてきました
振り向くと
きこりが沈痛な面持ちで帰ってくるではありませんか
きこりが泉の精に気付き
ふたりは目と目を合わせたまま
きゅっと立ち竦んでしまいました…