詩人:甘味亭 真朱麻呂
夜がまだ明け始めたころの町
すこしずつ空の隙間から光がもれだして
また回り出す切なさをはらみながら
目指す場所に届くようにと今日も祈りを捧げてたんだ
そしたらあっという間に気づいたら大人になってしまってた僕が居た
痛みのない世界がどこまでもただ続いてく
その無限にも続く広がりさえ感じさせないくらい朝の光は
隙間なくこの世界を海をこえて照らす
まばゆい光は届いてゆく 果てしないその距離さえこえてゆくよ
僕じゃ行けないところまで
誰かの代わりのように照らすよ
右目は何を映す?
左目で何を眺める?
映し出した景色はどんな色なのか?
今 始まりなのに早くも終わりの準備する人 手を振りさよならと朝も来てないのに
この町を出て違う町で新しい始まりの一歩を踏む人も居るさ
旅人が帽子を目深にかぶり
誰にもいわず旅に出るように
行き先などは誰にも告げていないから
旅人の行方は誰も知らない
始まりはそこにある
いつでも光は届くから
どこにいても平等に
始まりだけはずっと
変わらずに僕にも届く
昨日と同じ窓の外を
薄い青色の雲が流れ
すこしずつ朝が明ける
太陽が顔をのぞかし すこしずつ夜が明ける
新しい今日の始まり
新しい今日が始まる
今 また 今日もまた
隣では眠そうにあくびをする首輪をつけた老齢な犬とその犬に寄りかかる愛しい君
何ひとつ変わらない幸せがまた回り出す
正しいか正しくないかはきっと求めてない
その答はあったとしても知りたくはない なぜなら僕は今この上なく幸せだから 幸せのど真ん中に居るのに評価などいい
それだけでもう幸せ以外の何物でもないし考えられないから これ以上このほかの幸せなんて
そっとページが風にめくれて今日はまた昨日となる 繰り返す生活のリアリズム。