詩人:ハト
君が種であったころ
舞い降りた大地は
不運にも白いプランター
気まぐれに注がれる
善意の雨だけが
君の喉をわずかに潤し
乾と湿を
不定期に繰り返す大地が
吹く風から君を繋ぎ止める
しかしそれは
伸びやかに生きる君には
狭い大地であり
乏しい恵みであり
それでもなお
君は空を目指し
伸びやかに
伸びやかに
君が種であったころ
舞い降りた大地は
不運にも白いプランター
茶色く縮れた小さな葉
それでも
集められるだけの
水を取り込み
緑であろうとする
健気な葉っぱ
プランターの外の種は
逞しい茎を作り上げ
その根は
どこまでも
どこまでも伸ばされ
惨めな葉っぱなど
一つとしてない
それでも
咲かす花は同じ
気まぐれな善意が
君を忘れない限り
プランターの中の君が
一生懸命であろうとする限り
君が種であったころ
舞い降りた大地は
不運にも白いプランター
それでも君が目指すのは
秋に向けて遠くなる空
その時咲かす花は
誰よりも美しいと
いうわけにはいかないけれど
一生懸命に咲かす花は
負けず劣らず美しい