詩人:望月 ゆき
夕暮れの熱を
ポリエチレン越しに感じながら
運び込まれたボク
「急患です」とは
誰も(もちろんボクも)
叫ばなかったので
薄暗いベッドの上に放置される
意識もうすら遠のいて
そのままボクも眠ってしまったらしい
「かなり転移してますな」
遠くで声がして目をさます
上から見下ろす影はつづける
「もう長くない」
ああ、これというのも
運び込まれて数日間
ベッドに放置された結果ではないか
こんな時どうしたらいいのだ
まずは弁護士に相談だろうな
と電話帳に手をのばした
と同時にボクは服を脱がされる
と次の瞬間にはあとかたもなかった
たぶん
手のほどこしようがなかった
のだ
それにしても
美味かったのだろうか
と シュールを置いて