詩人:剛田奇作
ズボンのポッケからずり落ちた歌
笑うなよ
昨日を延滞してる
でも父親は
ズッコケながら笑う
オレンジをかじる
畑の泥を握り締めてた
手のひらの歌
バカラの黒い絨毯までは
現実的だった
パンダに誘われて
おじゃんになった
少年は
チューインガムにあの夜をくっつけて
鏡の中の自分に飛ばした
少女は
愛より
夢を
選んだ
住宅街が肌のキメに見える
シェイクが砂で出来てるのに
気付かない人形の世界
滑稽な循環
だれもかも
自分の日記を買おうとしてる
自らつけること
覚えやしないのさ
魂より
ずっと小さくなる
氷の
最期を見届けたことはあるかい
最初にあなたが見ているのは
あなたの薄い網膜
あなただけシネマ
私も誘ってね
たまには少し古い型のシャンデリアにもロウソクをともして
鬱くしい雰囲気
自分の名前が
ローズだったらなんて