詩人:どるとる
本当に伝えたい言葉をひねり出す
詩人たる僕らは心の底から聞こえぬ叫び声をあげている
昼夜問わず 僕にのしかかるさびしさがいよいよ誰かの命まで奪ったよ
今日、どこかで誰かが天国へ旅立った
テレビの中でキャスターが無表情で伝える
自殺を隠蔽しようとする 先生たちは一体誰の味方なの?
そしてその事実を知っていて知らないふりをするクラスメートはどんな心境なんだろう
傍観者と加害者 そしてしみったれた先生、親たちはどんなふうに流れた報道を見ているのだろう
いじめられてたという紛れない事実が
被害者の少年の机の奥にしまわれていたノートに 書き殴られて やっといじめが発覚しても
死んでいったその少年は時間とともに過去の人になってゆく
僕ら詩人はありのままを伝えるべきだけど 誰かの死を詩にする時に気づいてしまうよ どんな言葉も慰めにはならず 弔いにはならないって事
だけど 僕はそれでも会ったこともないその少年の痛みや迷いや悲しみを
全部わかったような顔で語りたいのだ
それを非難するのも正しいけど
僕は詩人だから
悲しみも喜びも
痛みだって
言葉にしたいのさ
少年がひとり闘っていたように
僕も言葉と闘っていくよ
少年がひとり泣いてたように
僕も言葉に泣かされているよ
だけれどその悲しみの差は違えども
僕はもういない
少年のいた足跡をたどるように
詩の中で少年の笑顔を涙を心を生き返らせてあげたいから
だから
言葉で今 伝えたい事があるから
言葉じゃなきゃ いつまでもわからない事があるから
不器用だって
素人丸出しだって
魂を込めるから
輝かない筈はない
輝かない筈はない
少年よ 聞こえるかい?
今 僕は君の抱いていた悲しみを 痛みを
詩にするよ
慰めたいためだとか
弔いたいためだとか
考えてもいない
愚かな僕だけれど
君の詩を書きたいという思いが僕を駆り立ててる。