詩人:剛田奇作
君を 想っている
君は 遠い近所で 空をみている
君はゆっくり回る白い風車の下にいる
鏡に空を映すと
無くしたものが映るというが
私がそうしても
君は映らない
ある時君は
長身の捜査官で
オンボロのアパートに
売春婦の私をよんだりする
呼んでおいて
疲れてソファーで寝てしまう君
書物が床に積まれた薄暗い部屋の隅々
あれはウォール街だっけ?
君の体は しなやかで白い
やや筋肉質な背中
たくさんの人と
愛しあい
結婚して
子供を作り
パッチワークとかするようになって
いよいよ君が頭から離れない
君を手に容れたらすぐに物語は終わるのに
ある時
君は 美しい海賊で
黒い帽子が
赤い海に落ちた時
私は 小さな島の白い海岸で
一筋の朝焼けを見ていた