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[145393] ほしがり

詩人:剛田奇作

南の島に住んでいる人はストーブを欲しがらない


なぜなら


ストーブは寒さを凌ぐために考え出されたものだから

一年中暑い場所では必要ない

必要とする人が必要な物を作りだし、それを使う


だけど


南の島にいても
ストーブを欲しがる人がいる


北極にいてプールをほしがる人がいる


砂漠にいて船をほしがる人がいる



動物園で
ダイヤモンドを探す人がいる


それは
ただ欲しいというだけで

彼らは 自分がなぜそれらがほしいのか
考えたことはない


ただ 欲しがっている


彼らは物ではなく


満たされた自分を欲しがっている


自分に必要なものを求めるのでなく


自分の欲しいを欲しがっている


喉が渇いたと言っては
塩をむさぼり


渇きが癒えないと
怒っている






2009/07/19 (Sun)
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