詩人:剛田奇作
南の島に住んでいる人はストーブを欲しがらない
なぜなら
ストーブは寒さを凌ぐために考え出されたものだから
一年中暑い場所では必要ない
必要とする人が必要な物を作りだし、それを使う
だけど
南の島にいても
ストーブを欲しがる人がいる
北極にいてプールをほしがる人がいる
砂漠にいて船をほしがる人がいる
動物園で
ダイヤモンドを探す人がいる
それは
ただ欲しいというだけで
彼らは 自分がなぜそれらがほしいのか
考えたことはない
ただ 欲しがっている
彼らは物ではなく
満たされた自分を欲しがっている
自分に必要なものを求めるのでなく
自分の欲しいを欲しがっている
喉が渇いたと言っては
塩をむさぼり
渇きが癒えないと
怒っている