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[166306] 僕らの声は瓦礫に埋もれて

詩人:どるとる


卒業式の最中
いきなり地震が起きて
卒業式が中断する光景
テレビで昨日観たんだよ君も観たかい?

桜がちらほら 咲いているけれど
どこか悲しそうに
かなり切なそうに
僕はそれを涙目で見ている

危ないから出かけるなと母が止める

コンビニは混んでいた
袋をいくつも抱えた誰かが 必死な顔つきで 荷物を車に詰め込む

どこかでは 被災がひどくて
幸いに僕の街はちょっとの被害ですんでるけど

僕にはあなたの無事を祈る事が精一杯だ
津波がのみこんだのは家や車だけじゃない
人の命もさらっていったんだ
そして今もさらっていこうとするんだ

僕には何ができますか?
春にそなえたランドセルを 非難用具に変えたオチビちゃんが
今日、ママとパパと笑ってるように祈るから
神様ももしもいるならば 救いをもたらせよ

一瞬のうちに消えた命を思う暇も与えない この嵐のような初春を憎しみと悲しみで満たしているのは
昨日は有り得なかったこの 残骸の中に埋まった あの人やあの人の笑顔
優しく送り出した母親の笑顔に手を振った卒業生も思いもしなかっただろう

街より家よりどこよりも被害をうけたのは心です

あなたは あなたは
家族と今一緒にいるのかい? 不安ながらも笑えているのかい?

日本中を揺さぶるほどの地震の中で
僕は唄っている

瓦礫に埋まった
命よ 嘘だと言ってください

僕は何もできない
役立たずだけど
聞こえなくても
届かなくても
精一杯
ここから
歌うよ

悲しみという瓦礫に埋もれても
僕らの声はちゃんと
あなたには届きますように

僕らはここで歌うよ

カップめんすすりながら 地震速報に肩落とす3月の半ば。

2011/03/12 (Sat)
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