詩人:甘味亭 真朱麻呂
めくるめく季節の便りが僕に届く
上からきらきらと落ちてくる
空は砂時計さ
時間が足りないよ
どれだけあっても
永遠じゃなくちゃ
すぐに過ぎてしまう
君に会えなくなるよ
そのうち近い内には
だから 今 目いっぱい君とキスして
だから 今精いっぱい君と言葉交わしたい
たくさんの幸せを悲しみすらぜんぶかき集めて
揺らめく夏の陽射し
庭に咲く小さな
サンフラワー
僕はじょうろで水をやる 家庭菜園に
穴だらけのじょうろから出る水の中に小さな虹が出たよ
でもまたすぐ消える
夏のようにその時はうそみたいに暑いのに夏が過ぎれば
少しずつまたうそみたいに暑さがひいてく
幻みたいな季節さ
冬と同じで 夢みたい
本棚の上の君との夏の思い出の一枚
ピースなんかしちゃってカワイいね
麦わら帽子の鍔が上向いて長い髪が邪魔くさそう
でも君の笑顔はどの写真の夏よりも一番輝いて見えた気がした
去年の夏
いつも少しずつ少しずつ色あせても少しずつ少しずつ同じようにそれと同様に輝きも増して昔になるほど愛着がわく
ふしぎな夏の幻
夏がみせる小さな
思い出の蜃気楼
川面に映る空は
青く澄み渡り
のぞき込めばあの日の君の笑い顔 映した気がした
それも幻か
なんて笑う今年の夏を待ちながら
町は少しずつ緑を茂らせ虫に夏を知らせる
夏が深まると暑さもまたどこかから出てきて陽射しは戻る
元のように
本当の季節に戻る
地球が生まれて
最初に出来た季節
春を終えたあとで
夏はくるだろう
夏はくるだろう
夏の風に乗りはこばれてくるだろう。