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[166381] 光と影

詩人:どるとる


手を伸ばせば 届いてしまいそうなほど 雲が地上に近いからそのまま天まで昇れるような気がした

今日の悲しみは
君をどれだけ
涙で濡らしたの?
いつもなら賑わうはずの通りを埋め尽くすほどの人々の心の中に
昨日のニュースはどんなふうに映ったんだろう
僕や私には関係ないよと被害者たちの気持ちも考えようとせずに 笑ってる誰かがいるならば その人は人間じゃないね

胸の中まで 切なさで満たすような夕暮れに 黄昏てる僕は
どんな言葉で泣き続ける街に語りかけようかと考えてはやめてまた考えて
繰り返した

光のあたらない暗闇の中で 君が見ているこの世とは思えないような悲惨な景色に光がもどる日を願う

昨日までは たくさんの笑顔があふれていた街が1日で 簡単になくなってしまう
そんな日が来ること
一体誰かが想像できただろう?

電気の消えた 部屋の中で食べる夕飯
心なしか会話が少ない

僕の住む街
君の住む街
比べれば一目瞭然
どうしてこんなに
違いがあるんだろう

昨日までは笑っていたあの人が隣にいないけど 信じられないくらいの人たちが亡くなったからです
津波にさらわれた家
親しかった友達
長年連れ添った妻や夫
母や父や叔父や叔母
兄弟
無差別に 連れ去る非道な運命に憎しみすらおぼえて
人は今日という日を忘れてはいけない
人はこの悲しみを忘れてはいけない

何ひとつ変わらない街で笑ってるおまえは知っているのか?
同じ国で起こってるこの惨劇を

僕は笑ってる中でも
泣いてる人がいる
そんな現状に
言葉をなくす

光はあなたには見えていますか?
なんだか 悲しいね
そんな言葉しか浮かばないけど

僕が言えることはただひとつだよ

これ以上 涙を流す人を悲しませないで
これ以上 人を連れ去らないで

僕は生まれてはじめて神様に祈ったんだ。

2011/03/14 (Mon)
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