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[72741] それはまるで祈りのようで

詩人:soul

百年先を描いた風景はあっという間に色を変えて
夢のような日常へ還った

夕陽の射す丘の上
夏に咲いた花は死んだ

そして今日も終らなかった世界の中
私は種子に還った生を吸い込んで
人差し指で描いた円を
流れる感情に乗せて
目を閉じた

およそ百年間の創造はあっという間に速度を増して
永遠を口一杯に頬張った

夕陽の射す幸福の海
眠らない魚は泣いた

そして今日も終らなかった世界の中
私は浮かび上がる悲しみを吸って
人差し指で描いた文字を
流れる感情に乗せて
目を閉じた

気が付けば
朱の色は揺れて溶けていって
振り向けば
静寂が木々を揺らす
歩き出せば
種子に還った生が
風に浚われて
まだ見ぬ場所へ

そして今日も終らなかった世界の中
私は精一杯の呼吸をするのだろう

2006/04/19 (Wed)
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