詩人:トケルネコ
椅子に飾る 指を咥える人形いくぶんオレより 長い髪を梳くマナザシを噛み切る 喜んでくれたらと愛おしい悲しい 魂の面影 鏡の蛇たち誰も彼も井戸の底へ母も父も妹も 泳ぎ疲れた魚のよう特にない産まれる理由 冷めたスープの記憶遠くない、右足の欠落細くいななくギリギリと鳴く闇左眼を塞ぐ ところどころ海が零れる影は見失い 椅子を投げつける窓辺誰も見ていない誰も泣いてはいない肩の痣をなぞる 湯槽に沈む髪しか