詩人:まとりょ〜鹿
知らぬ間に
擦って出血した
痛みよりも先に
ぷくりと膨らむ赤に
虚しさを感じるのは
実感しちゃったからなんでしょ?
傷は浅いが致命的で
今すぐに地を引き裂くような振動で
わんわん泣きわめいたのは
脳みそが今日も調子善く機能したからなんでしょ?
淋しさを口にするのは苦手です。
だから迷惑を掛けてしまっているんでしょう?
苦しさを態度に出すのは苦手すぎます。
だから誰もこの声に気付いてはくれないんでしょう?
人混みが苦手です。
対話が下手糞です。
察しても動けずに
見透かされた目も
義理という感覚も
苦手すぎます。駄目なんです。
でも今日も脳みそが機能しています。良好すぎて困ります。
赤に気を取られたら
次第に擦り傷は痛く
いえいえ痛いと思い
これは脳みそが調子が善すぎるから
だからわんわん泣いているんです。
全くもって要らない手間を…。
赤に滲む箇所を見つめているうちに
気付いてしまうもんなんです。
ああ、成る程。生きているんだと。