詩人:甘味亭 真朱麻呂
とてもつまらない
ただの僕の頭の中で想像だけで始まる旅
どこか出かけた気になって
金も時間もないからあいた少しの数分の中で想像する
ちっちゃな想像浮かべます
こんな大人なのに
こんな大人だからこそ想像しないと悲しいのかもしれない
叶える夢ももうありそうもないし
そんな日々とっくに過ぎたあとだし
イメージという旅へ君とふたりして出かけたいな
どうせなら現実で叶わない未来をつくろうかな
あまりにも僕の生きる毎日はむごすぎて思い出すのもやだから
そうはいってもまた始まれば嫌でも身をゆだねるしかない僕は
上達したり馴染もうとする気もない周りからみれば邪魔くさいなまけもの
心のどっかに大きな空と地平線をイメージしよう 欲張ったら海の向こうの少し上に真っ赤な太陽も浮かべたいな
長い連休じゃないと行けないような場所へもイメージだけでなら行ける 簡単にイメージするだけで海へも山にだって行けて疲れず行きも帰りも心地よい足取りで想像の旅は始まり終わる
なんて素晴らしいんだろう
なんて素晴らしいんだろう
それなのになんで
悲しい気持ちにもなるんだろ 心なしか
ぽっかり 胸に穴があいて 穴があいて
それでも僕は旅を続ける
それでも僕は旅をする
現実で行けないならば想像の中でその夢を叶えるしかないから
僕はまた夢をみる
少しずつくすんで見えづらくなるイメージの薄れを頭で感じながら 感じながら
くり返しイメージという旅を妄想の手のひらの上で続ける
想像するだけでどこへでも行けても
そこにはなにもない
まるで風のようにつかもうたって触れられないさびしさと
たまらない空虚感が胸の中に空白をいくつものつくりそれを埋める単なる気休めにしかならない
僕にとっては
孤独で鬱ぎがちな人にとっては
この現実世界は楽園より地獄に見える。