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[128724] 夏の冒険

詩人:甘味亭 真朱麻呂


貯めたお金でどこか遠いとこへゆこう
電車にのっかってガタゴトとゆこう
持ち合わせてきたお金がつきるまで
帰りの電車代以外はすべて使っちゃおう

ほんの小さな思いつきではじまる旅
そんな気持ちになれたら幸せだろう
真夏の空に輝く太陽と誰もいない海岸
それだけあれば何もいらない
夕暮れの海にたたずみ裸足になってズボンめくって
海の冷たさ感じれば夏はすぐに僕を始まりへと連れてゆく

なんか楽しいことがはじまりそうな予感に
心がウキウキしちゃうね
見上げた空に輝くあの太陽はまるで月が変装したみたいに
なんか他人な気がしない

だから夏に会いに行こう
電車に揺られて
窓の外 近づいてくたびに心がはずむよ
まばゆさ強くなる

ひとりぼっち
されど
それでよろしい

夏は僕だけを呼んでいるから
夏が呼ぶならと僕は夏に会いに出かけた
夏に誘われたんだと麦わら帽子をかぶって
田舎の少年は夏に会いにいった

小さな夏の冒険
今でも覚えてる
あの日の自分の事を
あの日かぶっていった麦わら帽子もまだあるから

久しぶりに出かけようかな
あの日行った海へ

カニは横に動く 雲はまるで止まってるようさ
逃げ水を目で追う
浮かんだ雲がクジラに見えた

そんな夏の想い出を抱きしめたままで
夏は今年も始まり
僕をまた懐かしい景色と暑さの中へ
ほど良く汗まみれ

僕を連れてゆく
手を引くんでもなくなんとなくだけど
呼んでる気がする

夏の冒険に誘ってる気がする
また行こうぜっていってくれてる
そんな気がするから僕はゆく

僕はまだ見ない夏に会いに行くんだ
今年は今年しか会えない夏だから会いたい
夏が終われば消えてしまう幻は儚い
日陰をじゃまして木々の隙間から差し込んだ日差しに目覚めた僕はまだ夢心地。

2008/07/06 (Sun)
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