詩人:あいく
(−中−見てから見てね!!)
花の咲く家から
出てきたのは
五十も半ばの頃か
初老の男
古びたハガキを見せ
宛名差出人に憶えは
ありませんかと問うと
初老の男は目を丸くし
これはわし宛てだ
と答えた
初老の男はしばし
ハガキを食入る様に
見つめていた
そして頭上の花を
見上げてポツリと呟いた
「わしは貴方の病の事は
知っていたよ
それでもなぁ
いや花が咲いた今だから
わかるのかなぁ」
初老の男は少し潤んだ目を
グイと袖でぬぐうと
配達員に
有難う郵便屋さん
と言った
配達員も一つお辞儀をして
その場をはなれた
事情を知りたくも無い
と言えば嘘になる
私に少しでも
歌の心得あれば
思わぬでもない
が私の仕事はここまでだ
配達員はまた次の
配達先に向かって行った
お終い。。。