詩人:どるとる
流れゆく季節の中で
いくつもの景色を見てきたはずなのに
愛は風のように 吹き抜けてしまった
僕の声も届かない場所へ
お互いはじめての恋で
お互いはじめての口づけをしたね
顔を赤らめながら
少しずつ本当に少しずつ距離を縮めていった
なんとなく傍にいるだけで下手な映画より
ずっとロマンチックな日々だったよ
何も言葉はなくても
会話は少なくても
お互い 寄り添えば全て分かり合えた
僕は君が好きで
君は僕が好きで
そんな漠然とした
思いだけで良かったのに運命は残酷なまでにふたりを突き放した
桜の季節は悲しくなる
どこに行っても桜が咲いているから
美しい桜の花も
まるで涙のように
ひらひらと舞う花びら 君の涙のようで
切なくなるんだ
君が好きで 誰より好きでただそれだけでふたりはいつまでも良かったのに
ただそれさえ 長くはつづかなかった
君がいなくなって
僕はたださびしくて
抜け殻のように
一日中ぼんやりして
隙があれば酒ばかりくらって
どうして君はいなくなってしまったの?
今はそんな疑いさえも届かないくらい
君は遠い遠い空の上
拝啓、天国の君へ
見えない手紙を送ります
そちらでも桜は咲いていますか?
思い出すたび悲しい
桜の記憶 かみしめたまま 忘れられぬこの痛みを 春という季節は悲しみも喜びも全て 君の存在を記憶しているから
僕は春になるたび
君を思い出して
せっかくのきれいな桜も涙ににじんでしまうよ
音もなく静かに
消えていった命は
まるで 散りゆく
桜の花びら
ただただ胸がかきむしられる思いだよ
君は僕といて幸せだったかい?
僕は幸せだったよ…
だけどあまりにも
短い春だったよ。