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[129414] ひめゆりに恋を泥棒

詩人:甘味亭 真朱麻呂


きっと 僕は君に惚れられたんじゃない
きっと 君は僕に惚れたんじゃない
きっと 君は僕の中にある才能に惚れた

僕だけを見てほしいのにな
君が最初から見てたのは僕じゃなくて
僕の中にある金儲けの知識と才能

僕は確かにキラキラ光る宝石も盗んだし金も少々盗んだ
けれどすべてそれは君の為じゃない
それはすべてあのやさしい目をした子供たちに贈るものさ

返ってくる言葉ありがとうだけで僕は盗んだ価値があると思う
どうやら君にはわからないらしいな
汚い金なら貧しい彼らにこそ与えられるべきだと思った
汚さがうつらないようよく磨いて渡したプレゼント

マントをひるがえしてあらわれる満月の真夜中
ひめゆりよ こんな子供たちを見てなんにも思わないのですか?
世の中の汚さを吸い込んだ君は汚く染まったひめゆり あんなにも白かった心はどこへいったの?

僕はもう君を愛しはしないけど
見捨てられるほど君とのつきあいは浅くはないから
保護者みたいな愛情でプライド
最後まで持ち続けて責任を抱いて君を愛すよ

だから 君にやる分け前は少ないけど
我慢しろよ
僕だって生活つなぐこと大変なんだからな 怪盗は大忙し
月賦も月謝もその日その日の働き次第でよりどりみどり
怪盗は不安定な毎日を生きているさ

それでも

ひめゆりに恋をした泥棒があの日いたことは紛れない事実
今もいるさ
ここに
ひめゆりに恋をした泥棒が今日もまた宝石で出来た花を摘みに、夜の街へ
なんだかんだいいながらも貢ぐ甘い僕

またマントをひるがえして参上するさ
まさか怪盗がひめゆりの為だとは誰も思うまい
そのぶん恥ずかしがらず働けるさ
気高く高貴な怪盗として

三代目のもみあげをのばした大怪盗の愛孫が今夜も叫ぶ
『〇〇子ちゃーん、待っててね』二人の仲間と狩りにでるから。

2008/07/19 (Sat)
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