詩人:どるとる
まだまだ先のことだと思っていたけれど
気づけば僕も大人になっていた
そして当たり前に毎日せっせと働いて
相変わらず不器用に生きてる
時々子供の頃の記憶がよみがえって 泣きたくなるときがある
それは決まって夜なんだ
枕に顔をうずめ
子供みたいに泣いている僕の背中をさするのは誰だい?大ざっぱに愛とでも呼ぼうかな?ねえ彼女?
大人になったら きっと楽しいことが待っているに違いない
そう思って 必死で走ってきたんだよ
だけれど案外 楽しいことばかりじゃないけど でも案外 そんなこと考える余裕もないくらい忙しいから ある意味幸せさ 忙しさが叶わなかった夢も届かなかった理想の自分も忘れさせてくれるから
でも時々 泣いてしまうよ 大人でも子供みたいに
夢なんて今さらどうでもいいけど ただ僕はね 輝いていたあの頃が懐かしすぎて
今でも 思い出されるたび涙が降り出して 景色が土砂降りの日の窓ガラスみたいに何も見えないくらいぼやけてにじむんだよ
大人になったらきっときっときっと毎日が楽しいよね
あれもしたい
これもしてみたい
あんなのになりたい
こんなこともするんだ
馬鹿みたいに理想広げていた あの頃の僕の声が時々 忙しさにかまけて 何かと理由つけて寝てばかりいる僕に何かを教えてくれている気がしてしかたないんだ
大人になった自分に宛てていつか書いた手紙は引き出しの中
今でもその内容は覚えているんだよ
嗚呼 いえるわけもないのさ
だって全て叶わず終わった夢だから
それでも今も馬鹿みたいに思ってる
今も案外これはこれで幸せなんだ
言い聞かせるように
繰り返し思うことで夢への未練を断ち切ろうとしているんだ
笑いたいなら笑っても構わないよ
でもねでもね
僕は向かい風に吹かれながらも 必死に日々生きてるんだよ
これだけはなにがあっても誇りにしたい
あとはもうきっぱり諦めてくだけさ。