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詩人:中村真生子
海からの風と
山からの風が交わる
小高い森の中に
弥生の村あり。
木のうろのような家に住み
神や祖先を崇め
300年ほどそこで暮らす。
ところがどういうわけか
彼はそこを去り
村は森へと還っていった。
そして今
1700年の眠りから目を覚ます。
小高い村に佇めば
弧を描いて海が広がり
その先には隠岐の島。
海が大陸へと続く道であった
古人の暮らしを垣間見る。
海からの風と
山からの風が交わる
小高い森の中に
弥生の村あり。
風に混じって聞こえてくるのは
脈々と受け継がれてきた
いのちの鼓動。