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詩人:どるとる
子供のころは 嘘なんかつかなくても
素直な気持ちひとつで生きられたけど
笑っていられるのはやっぱり子供の時だけだった
大人はなんでこんなに嘘つきな奴ばかりなんだろう
誰かを守るため
誰かを助けるためにつく嘘ならば素晴らしい
だけれど誰も守れず誰も助けられない
ただ誰かを持ち上げるための愛想笑いだったりお世辞じゃ悲しいだけさ
そうやって笑ってる僕も深く傷ついて
笑ってるのになぜだか心がどしゃ降りなのは この笑顔がまったくの嘘だからなんだよ
僕はいつも笑って世間に嘘をつく
平気なようで平気じゃない
誰か僕の嘘を暴いて白日のもとにさらしてくれ
世間でつく嘘は なんの役にも立たないし
ただつくたび悲しくなるだけさ むなしさが募るだけさ
できるなら 嘘なんかつかずに 素直な心だけで生きたいんだよ
だけれど立場や上下関係や 邪魔くさいものが沢山あるから
僕は位置づけられた
場所から動くことはできない
えらそうなことをほざくなら 這い上がってここまでこいとばかりに見下されるけど
僕はえらくなりたいとは思わない
えらくなればなるほど人から遠ざかる気がするから
この場所で
ずっと嘘をつき続けるよ
道化師は笑うよ
嘘をつくように
今日も冷たい世間の風に吹かれて
マッチを擦るように
優しさやぬくもりにあふれた愛を求めて
この街に居続けるけど毎日が悲しいよ
嘘つきばかりの街の中 僕も同じ嘘つきさ
鏡に映る僕の姿はいつも情けないさ
でも、素直な心はやっぱり隠せないものだね
涙があふれる帰り道
今日も1日が終わる
ほら嘘つきはどこだ? もうどこにもいないだろう
ここに今いるのは
悲しみに涙を流し
喜びに顔をほころばせる 素直な人だよ
いうなれば僕は正直者の嘘つき
本音は嘘などつかず正直に生きたいのに
嘘をつかずには生きられず 居場所さえ与えられない世界が生んだ矛盾の中であがく幼子。