詩人:甘味亭 真朱麻呂
どんな生き物も尊さはすべて同じなんだよ
何ひとつ変わりなんてあってたまるか
偏見や差別などあってたまるか
たとえば小さなアリのかすかな一呼吸と
人の一呼吸は比べてしまえば確かに違う様に想ってしまうけど
それはただ人間の絶大な支配力を見ただけのうそっぱちの錯覚もはなはだしい
人間なんてこの世じゃちっぽけなものさ
そんなふうに生き物と生き物を比較して
自分たちの方がえらいだとかいう人は特に
雨があがって
虹が浮かびあがって
綺麗な景色の中
寄り添うのは
ひとつの傘の下で笑いあう恋人同士の僕ら
落ちてゆくアングルが二人を映し出す
水たまりの中
揺れながら少しの波紋で消えそうになる
ほんとちっぽけな愛だね
少しだけ 少しだけ
ほかの生き物より自分たちの方が勝っている
そう思ってしまったのなら
訂正するよりも
まずさきに謝るんだ
声を大にして
自分もほかの生き物もすべて同じ尊い命だと叫びながら
噛みしめもして
ただ叫ぶんじゃなくて
噛みしめて
噛みしめてごらん
味わうように
味見するみたいに
ほら いつかじゃなく今すぐに。