詩人:遥 カズナ
いつか
片思いだった女性が
フォレスト・ガンプは
リアリティーが無いと
軽蔑した
もう我慢しなくて良い頃合いだ
映画にリアリティー
もう映画
なんか
見ないで貰いたい程
がっかり
させられた
人が
誰かに
何かの手段で
思いを伝える行為に
あらゆる手段はあるが
それらは
完全な虚構に
ほかならない
表現に伝わる力が
見い出せないなら
生きる意味は
楽に見殺しか
バス停で
お別れした
それでも
音楽だけは
味方してくれて
僕がどんなにか愚図で
能無しでも
たぶん神様ならそうするように
優しくしてくれた
夜明け前から
日が暮れるまで
倒れる寸前くらい迄釣りをして
眠りたい分を通り過ぎ
眠りたく無い部分をさらに超えて
眠った
はだしのゲン
アームストロングが
月の大地を踏みしめ
エルビスが鍵を開け
ビートルズが扉を開いて
アンディーウォーホルがキャンベルスープの缶を切り
山下清は花火大会の最後の切り絵の一枚を貼り終えた
時期だとか人の要領
時代の雨脚を振り返る
確かさを
考える事を考えると
嘔吐した
エクトプラズムが
彼女の形になり
息子達が産まれた理由になった
もう今は何も
こうして
恥ずかしくて
いい