詩人:甘味亭 真朱麻呂
午後から降り出した予報にもないとつぜんの雨
少しせつなくなる
わけもなくため息がでる
窓の向こうの景色が白くにごって雨音だけが響く
もしかしたらこの歌は言葉というには
少し違うのかもしれないけれど
それでも僕はこの言葉のようなものを
操るみたいに操られるように心の中に見えた想像の景色を描きながら 少しずついろんなものを足してく
目につくものをただ歌にして届けるだけ
色づけするみたいにさびしさを塗りつぶす
少しでもやさしく見えるように
この蒼い世界が
少しでもきれいに見えるように
悲しみとか喜びとかもうたくさんだ
いらないからとつぶやいても日々の流れはとめられない
ただぼんやりしてた意味のない青春みたいに味気ない
若かった昔がつい昨日のことのように心の中にイメージが広がってゆく
僕はただ眺めてる
遊具のないグランドで
冷たさに全身を縛られながら
あえぎ散らす自由時間
それはただ憂うつでつまらないセルフタイム
人気のない今にもつぶれてしまいそうな廃れた喫茶店
天井に一本の糸を支えにつるされた模型が規則なくくるくる回ってる
こんな汚れた模型さえも自由を許されてるのにね
僕はなにをしているのかな
僕はなぜにこれほど不自由なのか
いや、違うよな
模型は自由なんかじゃないこのちっぽけな喫茶店の中で喫茶店の中だけで許された自由の名を語った不自由という少し広いだけの檻の中でだまされているんだ
僕と同じように
不自由という見えない枷をつけた偽りの自由という監獄の中の心貧しい囚人
心の中にある檻に閉じこめられた哀れな囚人
日々を無駄に流す悲しい実情
雨ばっか降り続く夏は嫌いだ
早く眠りたいな
縁起でもない願いばかりささげて 今夜も夢のない眠りにつく若年寄りの歯ぎしり おかした罪の数しれぬとらわれの人。