詩人:甘味亭 真朱麻呂
僕が君に話せることなんかまだあるのかな
窓の外に浮かぶ月が僕をあわれむように見下ろしてる
裸のさみしさよりももっと悲しい現実があるんだ
終わりにはまだほど遠い道の途中で惑うから
僕の影もなんだかさみしそうに縮こまりながら影の僕が影じゃない僕を真下から見つめている
君に捧げた少し不器用な愛は今ちょっとばかり不安定です
ひとりぼっちでまたがるシーソーみたいにまったく
意味のない事ばかりしたがるの
恋のシーソー
いつまでも僕を空に近づかせずにただ地面に張り付かせてる
そのうち当然のように夜がきても
何ひとつ変わったことなんかなくて
僕はそのあまりの変わりようのなさに
打ちひしがれていた
真夜中 月を眺めて
すっかり冷めきったコーヒーをすする
そしてミルクと砂糖のいれすぎたコーヒーに噎せる
そんな夜
僕はずっと考えてた
僕はずっと一晩中
寝ないで君のこと考えてた
表開きの青春
思い切って裏を返せば
ほら無造作なまでにデタラメな日々
僕の願い 空に流すよ
もう使うこともない愛のカケラ
余らしたあげるはずだった優しさ
ほかの誰かになんてあげたくない
今 シーソーは僕がおりたことで
水平さを取り戻し
やがてゆっくりゆっくりと地面につく
僕の知らないところで
すべては始まり終わる
行きずりの恋も。