詩人:リコ
たった1行で
済まされた懺悔
たった1枚で
済まされた御慈悲
心無い人間様の足音に現実的に怯えて
青白く震え出す
毎度の事ながら
厄介な塩梅
拒絶反応を
悟られぬ様に
こっそり退散
こべりついた
人間様の臭い
拭い去るのに
一体どれほどの月日がかかるのだろうか
知らないけど
右手で連打された
消音ボタン
噛み付いて
リモコンとその手を
引き離してやったのよ
音の星に生まれたのだから
その手は
弾けてる指であって欲しい
そしてその手で
愛撫されていたい
くだらない性癖
オレンジアンプに
縛り付けて
朝になっても
そのままで
この心が安らかになるまで
高速に乗せて
海沿いを走れば
毒吐きギャラガー兄弟の
優しいメロディが
人間様の
下品な笑い声
かき消してくれるから
愛し過ぎる
奏で出したその指
ギブソンの音色に
上も下も濡れて柔らかくなっていく
心さえ無ければ
こんな思いはせずに済んだよ
心さえ無ければ
もっと器用に
走れただろうよ
音の星は
心の粒子で溢れ
アンテナを折れないまま
心を音に返す奴等が
いつだって足りない
中身の無い
パフォーマーが多過ぎて
きらびやかに
パンクロックは
完全な名目となって
名利の果てへと朽ちていく
ゴージャスソフィスケイトまがいの
糞ったれなパンクキッドに
投げ付けるのは
卵でも
罵倒でも
説教でも無く
歪み返しのエレキな音だけ
心の詰まった
ノイズに似た妙薬を