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[148489] 詩人のコモリウタ

詩人:どるとる


僕にしか書けない詩を書きたいけど
凡才の僕には書けそうもない気がする
それでも僕が書ける詩は僕しか書けない詩
詩人は詩う
ただ詩う
あふれる涙のような繊細なイメージを形にするために漠然とした夢のもとに言葉を綴るのさ

詩人は言った
君は自分の書く詩に自分らしさを感じるかい?

だなんて

自分らしさなんてわからないのに自分はなんでこんな問いかけに迷わされてるのか
今もわからぬ言葉に僕は迷わされてる

詩人よ安らかに眠れ眠れ
深い闇に沈んだ夜に眠れ
言葉に縛られた詩人は
言葉のさらに向こう側へ行こうとして旅に出た
月の裏側へと行方をくらますのさ
夢の中で

人は不思議なものを媒介として現実の冷ややかなまでの規則正しさに快い乱れをつくる
ただそれも厭きるから人は次々に満たされないとわかっていても言葉に頼り詩人になろうとする
誰もが詩人なのさ
わかってないだけでみんな詩人なのさ

詩人は今日も凡人の面で詩う
ただどこまでも平たい詩を
ただどこまでもおなじ色と形の詩を
眠くなるくらい詩人はコモリウタのように僕にきかせる

星は輝くため
時は進むため
夢は叶えるため
それが違えない道理なら
僕はなんのため生きてるの?
教えてくれよ
いつしかきこえなくなった詩人よ…
覚めぬ眠りについてしまったのかい?

小さなころはあんなに詩えたのに
澄み切った純粋で素直な詩を
今じゃあまりにも常識から抜け出せない合理的なつまらない詩ばかりで夢が不足してるよ
夢にあふれてなきゃならないはずの夢にさえそれらが浸食して悲しや

たった一言だけ
思い出せるのは
こんな僕でも詩人なんだってことだけだ
それが唯一の救いです
詩人は眠ったらしいが僕はまだ眠らない
きっと探し出すよ
なくした詩を
そして見つからないなら編み出すよ
新しい僕の詩。

2009/10/10 (Sat)
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