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[167858] 夕刻、屋上にて

詩人:どるとる


色あせてしまった空に電車が走る レールの上

僕の横を通り過ぎてゆく 緑と白の電車
ガタゴトガタゴト

不規則な僕の生活の中で 規則的なリズムが重なる時 僕は自分のいたらなさに時々深く傷つくんだ

見てごらん 1日が今終わってゆくよ
黄昏て 窓辺 立ち尽くしてさ 涙なんか流しちゃってる僕は
思ったんだ

それはまるで終わりゆく景色のようだと

遠ざかる電車の音がみょうにさみしくって泣いたんだ

ビルの屋上から沈む夕日を眺めた
あの夕日は何万年前も何万年後も変わらない景色なんだろう
あの夕日を記憶に刻みつけて 忘れないようにすることが変わりゆくこの街の中で僕に与えられたことだとしたらそれは
間違いじゃない
そう思うんだ

変わらないものを
今日もさがしていた
冷たいような
温いような
世の中の風に吹かれ
形のない 何かを残そうと走っていた
息を切らしてたどり着いたいつものこの寂れたビルの屋上で見た夕日に 手を振ったら なんだか何かが吹っ切れた
今日も何かが 僕の胸の中を 焼き尽くして 涙が止まらなくあふれたよ 何かが僕を抱きしめていったよ
何かが生まれたよ
本当だよ

夕刻屋上にて
見た景色を僕は忘れないよ

くだらない記憶だと
言わないで ずっと僕の胸の中に燃えてる夕日の色 同じようで違うから 変わらないもの 変わってしまうもの 切なさだけは変わらずに僕の瞳の中でずっと燃えている

さよなら
さよなら
また会うときは
きっと
きっと
もっと上手に
お別れできるかな

僕はこの場所できっと何十年後も 大切なものを 教えられるだろう 夕日よありがとう

静かにドアを開けて
ドアが静かに閉まったなら もう屋上には誰もいない
ただそこにはいつもの夜があるだけなのさ

僕はあえて何も残さない

形のない思いだけを心に刻みまた明日に歩き出す

心持ちも新たに
一歩また一歩。

2011/05/05 (Thu)
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