詩人:甘味亭 真朱麻呂
ああ いつだったかな僕が生まれた日
この世界ではじめて声をあげて一番はじめの息をした日
どんな思いで目に映った世界を見てただろう
きっと頭の中じゃ想う事なんてなにも無いけど
真っ白なキャンバスだってなにかを描けば鮮やかに見えるように なにもない人生という新しいキャンバスに日々描くのさ
願わなくてもやってくる今日という紙のうえに自分で想像したもの
ひとつひとつの苦労やふとした幸せの場面を少しずつ描いて
何度も今日が変わるたび新しいキャンバスに繰り返し描いて
人生というたったひとつの絵を完成させる ひとつひとつが集まってひとつになるんだ
きっとその日その日によって過ごし方が違うから統一感のないバラバラな絵になるけれど
それでこそ人生なんだろうな
同じ日ばかりじゃつまらないから
違いがあってこそ人生
人にも十人十色という言葉があるように
きっと人生にもその人の味があるだろう
人生が完結するころにはその味つけも終わってるだろう
そして振り返るんだ
今までの日々や場面 ひとつひとつ
誰もが思い返すのさ
忙しすぎていちいち振り返る暇がないから思い出せない事もあるけど
万華鏡のぞくみたいに
きっと想像の果てに見えた景色は綺麗な筈さ
悲しい出来事があるから喜べたことが引き立つのさ
だから キャンバスに今日も描くよ
まだ終わらない
まだ完成しない
描くことはまだまだたくさんあるから
まだ終わりにしない
まだ完成していない
だから キャンバスを変えても変えても書きたいことがある
だから たとえ終わりの日が来たとしても書きたいことは絶えない
もっと書きたい
もっと生きたい
完成された人生とはほんとはあるようで無いもの
だって僕はこの世界の美しさをやというくらい知ってしまったから
目を閉じたくないのもその筈だよね。