詩人:どるとる
真っ赤な空に浮かんだ茜雲と どこまでも延びたレール
野球帽を被った少年がひとり 壁に向かってボール投げて遊んでる
もうそろそろ帰ろうかな ママも心配してるから
寄り道せずに家に帰ろう
道草を したがるのにはべつに理由はないけど なんとなくなんとなくいつも気づくと道草してるんだ
わざわざ遠回りして
どこまでも続くあぜ道をひとり 駆け足で風を気取った夏
その目にはどんな景色が映っていたかな
今はもう多分 どこを探しても 見つからない空だね あの日見た きれいな夕焼け
言葉になんてならないくらい 僕の瞳の奥で めらめらと燃えていた あの日の夕焼け空は 今も心の中に少しも色あせずに広がってるよ
少しずつ時を経るごとに遠ざかる思い出は 切なさや悲しみをただ心に残すだけじゃなく 忘れられないからこそ覚えておきたい思い出だから
いつまでもいつまでも 思い出すたび 胸に突き刺さるような痛みも 時として心地よい安らぎに変わる
太陽の涙のような陽射しが景色に彩りを添える1日の中でいちばん好きな夕方に
優しい思い出が
心にともった
どっかで豆腐屋の
ラッパの音
数羽のカラスが鳴き声を田畑に落として
揺れる 陽炎 夢、幻
振り返るたび 涙が頬を伝うけれど
心配することはないさ
思い出はいつまでもこの胸の中で生きている
目を閉じれば ほらね燃えさかる 夕焼けの茜色がまぶたの裏の暗闇の中にそっと 咲くんだ。